忍者ブログ
こうしんりれき
[1] [2]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

振り返ると、渋面の腹心と目があった。なんだ、と問い返すと、眉間に手を当てつつ低い声が答える。
「御自ら、厨にお入りになるのはやめてください」
「いいじゃねえか。そんな大勢が押しかけてくるわけじゃなし」
来るのはあの主従のふたりだけだろ。そう笑うと、重々しい溜息が返ってきた。
「小十郎、言いたいことがあるならハッキリ言えよ」
「……なんでもございません」
言葉とは裏腹に、眉間の皺は消えない。喉を鳴らして笑いながら、澄んだ出汁の具合を見る。
「あいつ、怪我まだ治ってないんだろ?」
「そのようですな」
まだ完治していない傷をおしてまで、わざわざ奥州まで来るのは真面目なのか、律儀なのか。
「手合わせひとつできねえんだ。
 それに、奥州のメシは今一つだなんて甲斐でふかれても困る」
「だからといって、政宗様が手ずから料理されなくても」
いいだろ、好きでやってんだ。


————————————————————————
新刊イデアより。まだ書いてますが(泣)
いちゃいちゃべたべたにはならないですな、ウチのダテサナは。
むしろ仲が良いのは従者コンビ。私ダテサナ<コジュサスなんだろかと悩み中。
PR

白い頬を一筋、赤いものがつたわった。指でぬぐった彼は、喉を鳴らして笑う。
「そうでなくては」
面白くない。かすかな声音は不思議なほど音のない場に、凛と響く。
「小十郎」
「……動かないでください」
主の動きを腕で制して。目の前の少年は、笑っている。笑っているけれど————
空気が震えるほどの殺気をおさめてもいない。
「どうした? 片倉」
血で汚れた手で軽く招く真似をして。
「主を護らねばならぬのだろう。別段、惑うこともあるまいに」
我を斬りたいと願うておったではないか。
翁の声のまま、少年がまた笑った。そのまま紅の指先をこちらに向ける。
「思い切れないようであれば……手伝ってやろうか?」
「な、にを」
震える自分の声に唇を噛む。少年は笑み、軽く空を薙いだ。
途端、後ろから聞こえる呻き声。
「っ!」
「政宗様!?」
顔を押さえてふらり、とよろめく主は、片手でこちらを制した。
「大丈夫だ、それより」
————アイツを。
色の違う瞳は細められたまま、じっと見つめてくる。
その顔には年相応の幼さも、初めて会った時の弱さも儚さもない。
あるのはただ、むき出しの殺気だけ。
「片倉」
無愛想に吐き捨てられた名が、はりつめた空気に溶けて消えた。


————————————————————————
没ネタ・暴走男主。あれこれ書いて、こういう形の暴走はしないと判断したので没。
ネタ自体はまだ生きてますのでそのうち出てくるでしょう。
原稿の合間にこんなんガリガリ書いてます。
片倉さん、ケーキ焼いたげようか。
唐突に言い出した猿飛に、俺は顔をしかめた。甘いものは不得手ではないが、得意なわけでもない。
「いちごの美味しい時期になったしさ。ふわっふわの生クリームで」
にこにこと笑う顔は、相変わらず裏の意を読ませないまま。
「猿飛。どういうつもりだ。俺はケーキなぞ」
「俺の手作りでもいらない?」
得意じゃないのは知ってるんだけど。ぼそりとつぶやいて、琥珀色の瞳がこっちを見つめる。
「ま、うちには幸村さん居ますんで。作っても無駄にはならないんですが」
ねえ。思わせぶりな声音に思わず眉を寄せると、とうとう声をたてて笑い出した。


—————————————————————
コジュサス現代版@原稿中。佐助さんは戦国より若いので(現代では幸村と同い年)
年齢差がひらいてしまった片倉さんは苦労しているようです。
しかし現代はいい。使える言語に制限がない(カタカナ封じが段々辛くなってきた……)
「んじゃ、頼むね」
もし気がついて暴れたりしたら、放り出して良いからね。
一番の配下のくせに言うことは随分容赦ないなあ、と、残された少女は苦笑して。
寝ている猫を撫でるような手付きで、茶の髪にそっと触れる。
無防備に、膝に頭を預けたまま目を閉じている青年に。
「……ばか……」
ちいさくつぶやいた言葉にも、まるで反応なし。
ふわふわとした感触の髪に指を絡ませて、かすかな温みに目を伏せる。

「見張りも警護もなし、か。あの忍も知らず毒されている、といったところかな」

主も主だ。こんな得体のしれないものの膝で、呑気にぐーすか寝こけるやつがあるか。
そこで、ぴくり、と肩がすくんだ。足音の全くない誰かさんが部屋に近付いてくる。
かすかな茶の香り。なにか甘い匂いも一緒のようだ。
「まったく」
苦笑はそのままに、伏せた目がぱちりと開いた。
襖の影からのぞいた樺色の髪に、ちいさく指を口元に当てる。
忍はひそめた声で、ありがとね、御苦労さん。そう笑った。


————————————
4-2と4-3の間…であっているだろうか(まだ会社…確認できず)
ちょこっと本性出たり女主。

「どしたの?」
声をかけると、少年はちいさく微笑んで。
「星が綺麗だな、と思って」
まだたそがれどきで、空の端にはうす赤くお天道様の名残りが残っている。
けれど彼の見上げる先には、ぽつりとひとつ、白い光が見えた。
「お、一番星」
俺の言葉ににこりと微笑んで。色の違う瞳がまたたきもせずに、また空を見上げる。
「ねえ」
なんですか、というように、彼は首を傾げてこちらを見た。
儚い雰囲気さえ感じさせる彼は、先に『竜の右目』と呼ばれる達人と斬りあった時とは、まるで別人のよう。
刀と、鞘。そう右目の旦那は言っていた。正直、俺にはどちらなのか、はっきりとは分からない。
露骨に殺気を叩き付けられればともかく、今はただの細い少年にしか見えないのに。
「佐助さん?」
いつまでも黙っている俺を不思議に思ったのか、ちいさい声が名を呼んだ。
「……君は」
此所に居て、何をしたいの。そう聞こうとしたけれど。
ちぐはぐな瞳は、ただ静かに微笑んでこちらの言葉を止めた。
「甲斐に居たひと」
唐突な言葉に耳を傾ける。少年は笑みをたやさないまま、
「貴方達のところに居た軋間の、ひとは」
彼はそこで言葉をのみこみ、また空を見上げた。



————————————
9章の後「浄眼の海」の前の落書き。
派生と原稿の間に本編の調整をしてますが、皆暴走癖がついててえらいことになってます。
実はまだ会社。はやく家に帰りたいです……


忍者ブログ [PR]
カレンダー
12 2025/01 02
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
フリーエリア
最新コメント
[08/28 笠山]
[08/26 海斗]
[08/08 笠山]
[08/08 NONAME]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
No Name Ninja
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
最古記事
(11/11)
(11/14)
(11/18)
(11/21)
(11/22)