こうしんりれき
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 「どしたの?」 声をかけると、少年はちいさく微笑んで。 「星が綺麗だな、と思って」 まだたそがれどきで、空の端にはうす赤くお天道様の名残りが残っている。 けれど彼の見上げる先には、ぽつりとひとつ、白い光が見えた。 「お、一番星」 俺の言葉ににこりと微笑んで。色の違う瞳がまたたきもせずに、また空を見上げる。 「ねえ」 なんですか、というように、彼は首を傾げてこちらを見た。 儚い雰囲気さえ感じさせる彼は、先に『竜の右目』と呼ばれる達人と斬りあった時とは、まるで別人のよう。 刀と、鞘。そう右目の旦那は言っていた。正直、俺にはどちらなのか、はっきりとは分からない。 露骨に殺気を叩き付けられればともかく、今はただの細い少年にしか見えないのに。 「佐助さん?」 いつまでも黙っている俺を不思議に思ったのか、ちいさい声が名を呼んだ。 「……君は」 此所に居て、何をしたいの。そう聞こうとしたけれど。 ちぐはぐな瞳は、ただ静かに微笑んでこちらの言葉を止めた。 「甲斐に居たひと」 唐突な言葉に耳を傾ける。少年は笑みをたやさないまま、 「貴方達のところに居た軋間の、ひとは」 彼はそこで言葉をのみこみ、また空を見上げた。 ———————————— 9章の後「浄眼の海」の前の落書き。 派生と原稿の間に本編の調整をしてますが、皆暴走癖がついててえらいことになってます。 実はまだ会社。はやく家に帰りたいです…… PR |
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