こうしんりれき
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 白い頬を一筋、赤いものがつたわった。指でぬぐった彼は、喉を鳴らして笑う。 「そうでなくては」 面白くない。かすかな声音は不思議なほど音のない場に、凛と響く。 「小十郎」 「……動かないでください」 主の動きを腕で制して。目の前の少年は、笑っている。笑っているけれど———— 空気が震えるほどの殺気をおさめてもいない。 「どうした? 片倉」 血で汚れた手で軽く招く真似をして。 「主を護らねばならぬのだろう。別段、惑うこともあるまいに」 我を斬りたいと願うておったではないか。 翁の声のまま、少年がまた笑った。そのまま紅の指先をこちらに向ける。 「思い切れないようであれば……手伝ってやろうか?」 「な、にを」 震える自分の声に唇を噛む。少年は笑み、軽く空を薙いだ。 途端、後ろから聞こえる呻き声。 「っ!」 「政宗様!?」 顔を押さえてふらり、とよろめく主は、片手でこちらを制した。 「大丈夫だ、それより」 ————アイツを。 色の違う瞳は細められたまま、じっと見つめてくる。 その顔には年相応の幼さも、初めて会った時の弱さも儚さもない。 あるのはただ、むき出しの殺気だけ。 「片倉」 無愛想に吐き捨てられた名が、はりつめた空気に溶けて消えた。 ———————————————————————— 没ネタ・暴走男主。あれこれ書いて、こういう形の暴走はしないと判断したので没。 ネタ自体はまだ生きてますのでそのうち出てくるでしょう。 原稿の合間にこんなんガリガリ書いてます。 PR |
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