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こうしんりれき
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悪い夢だ。
そうとでも思わなければ、目の前の光景はとても信じられなかった。累々と転がる蒼い羽織の骸、折れた刀。地面に広がる染みと、吐き気のするような風。
自分が息抜きついでに、陣を離れたのは半刻程度だ。無論、敵が近付く様子もなかったし————こんな、短時間で全滅に近い状態にされるなど。

「う」

かすかな声を耳が拾った。あわてて視界をめぐらせた先、倒れた人影————
「成実!」
駆け寄って抱き起こすと、血まみれの顔面が見えた。袖で顔をぬぐって頬を叩くと、まぶたがふるりと震える。
「どうした、なにがあった?」
答えようとしたのだろうが、口からは言葉ではなく血があふれた。ずたずたに裂かれた鎧と羽織、手の側には真二つに折れた槍。
誰にやられたと声をひそめて聞けば、ゆるゆるとかぶりを振って。
「逃げろ……梵」
かすれかすれの声に、息が詰まった。
「成実」
「俺と……小十郎が止める……から。他の連中も」
まだ動けるやつがいるはずだ。起き上がろうとした体は、がくりと崩れた。
「無茶だ、足が折れてるぞ」
「……いや、まだ」
時間ぐらいは稼ぐ。血混じりの言葉を吐き捨てて、逃げろ、とくり返す。
「奥州まで退いて……たてなおせ。もう、ここは無理だ」
「いや」
「言うこと聞け!」
初めて聞く激しい叱責。動きの止まったオレを見、土色の顔は笑った。


realize落書き。拍手の正月ネタにするにはあんまりだった(;・∀・)
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「忠勝、鎧は脱いでおけと言っただろう」
指定の場所に、いつもの出で立ちで彼は居た。槍こそ持っていないものの、それ以外は戦装束と変わりなく。
「……………」
「なに、怖い?」
なんて事を言うのだ、と返すが、忠勝もかたくなに首を振る。
「まあよいか。ほら、手を出せ」

差し出される腕が、小刻みに震えているのが分かった。
戦国最強がなにを恐れるか。けれど、彼の言い分も分からなくはない。
『これ』は怖かろう————敵よりも、はるかに。

「小さく見えるなあ」
片方の掌で充分なのではと思うほど。けれど、忠勝はちいさな固まりをこわごわと、両の腕で支えている。
兜越しの眼は、その温もりから動くことなく。
「ほらな、泣かぬと言っただろう」
「……………」
黒々とした瞳をきょとんと見開いたまま、赤子も間近の忠勝を見返している。
「父親似だと言うておったぞ」
「………?」
「分からぬか? 目鼻立ちは凛々しいし、なにより大きいらしい」
もっとも、比べるほかの赤子を知らないのは、自分も同じだから受け売りだが。
「…………」
「男の子なんだから、父似も大きな体躯も困らんだろうに」
もう泰平の世なのだから、この子が戦場に出ることはなかろうがな。
「もう少し抱いててやれ。落ち着いているではないか……と」
怖いから、とこちらに赤子を返そうとする忠勝を軽くにらむ。
————————————
なんで没ったかって、名前変換が出てこないのです。明日リベンジ予定。
そのような困った顔をして、どうした。
かけられた声に、ふと顔をあげた。しゃがみこんでじっとこちらを見ている、優しい瞳。
「殿ぉ!」
「……なんだその驚き方は。ああ、平伏もせんでいい」
咎められて、下げかけた頭は止めざるを得なかった。
「私の事を御存知なのですか」
「喜多が誉めておった」
物おじをせず、はっきり物を言うと。それは誉めてるというのかなと思ったが、聞き返すことが出来るわけもなく。
「ここに、何の御用でございましょうか」
梵天丸様も時宗丸様もおられませぬよ、もちろん、小十郎様も。
「だろうな。さきほど裏庭から、大声が聞こえておった」
また稽古で手酷くやられたのだろう。言葉とは裏腹に、御顔は笑み崩れたままだ。

「さて。少しばかりつきあってくれるか」

見れば、殿の手にはふたつの茶椀があった。そのようなことをせずとも、と焦れば、また笑われる。
「茶室で、気難しい顔を見ながらたてても旨くならぬでな」
まあもともと、才能がないのかもしれんが。ぼそりとつぶやく御顔に恐縮しながら、それを受け取る。
「……梵天は、どうだ」
私より、喜多様や片倉様のほうに聞けばよろしかろうに。ちょっと頭をよぎった考えは、顔に出ていたらしい。
「あの姉弟は……」
そこで一旦言葉をきって。まあ似たもの姉弟よの、とぼそぼそ聞こえた。
「殿?」
「儂が聞きたいのは、伊達の跡取りの話ではなく、我が息子の話なんだが」
「まあ」
でも————なんとなく合点がいった。あのおふたかたは、悪いことをそのままお伝えすることはないだろう。
「私なら、喋るとおっしゃいますか」
「はっきり物を言うのだろう?」
喜多は『まるでそこらの童のように叱りつける』と言っておったが。特別な扱いなぞ、せずともよいのだ。
「殿」
一口、茶をすすりこんで。まるで溜息のような声音が、ゆったりと響く。

「……儂は、梵天に伊達を継がせる」
————————————

今日買ったコミックスに触発されて突然書いた輝宗パパ。物にならなかった…
 その光景を見た瞬間、心臓が止まるかと思った。

彼女がまとっている薄い萌黄の着物は、確かに慶次が贈ったものだ。
「若い娘なんだから、綺麗な着物の一枚でも着れば、気持ちも明るくなるんじゃねえの」
土産と称して持参したそれに、小花を散らした髪飾りをそえて。
せっかくだから着てみせろよ、とすすめたのはオレだ。でも。

「いや、よく似合うねえ」
良かった。明るい、裏表のない褒め言葉に、頬をわずかに紅潮させて。
「ありがとう、ございます。慶次さん」
「いいって。こんな可愛い女の子と分かってたら、もっと奮発するんだったよ」
政宗がなかなか教えてくれなくてな。
「Hey,オレが意地悪したみたいに言うな、慶次」
思わず口を出してしまった。本当は、もう少し隠れて見ているつもりだったのに。
「政宗……さん」
「よお」
慶次は笑ったままだ。その傍らで、彼女はびっくりした表情を浮かべている。

————————————————
ここまで書いて力つきました。本日分の更新は昼間になるかと思います。
とりあえずいただいたネタで書けそうなものを列記。今年の流行か逆チョコネタが結構……


現代ネタ・佐助&女主、佐助&男主、小十郎&男主、幸村&女主
戦国ネタ・成実&女主、松永&男主、佐助&女主、あとは長篇組

結構出来たなあ……
「なあ」
なんとか熱がさがり、体調ももどった彼に呼び掛ける。
「なんですか?」
「帳簿から目ぐらい上げろよ、おまえ」
「ひとが見て無いのをいいことに、仁王車やら木騎やらを買いまくった人が言いますか」
いいじゃねえかよ、戦も近そうだし。ぼやいた言葉に、きっつい視線がこっちを射た。
「なんだよ」
返ってきたのは、重々しい溜息。
「長曾我部軍が、武器ばっかり立派で守りや兵糧がおろそかなの、有名なんですよ。だから皆長期戦狙ってくるんでしょうが」
「ああ、だからやたら焦れったいヤツラが多いのか、最近!」
また熱でそう、と頭を抱えた彼の額に手を当てる。
「きついなら休めよ、おまえ」
「俺の具合悪くしてるのは元親様ですよ、分かってますか」


続きは18禁のため埋めました。
彼といい伊達の刀鍛冶といい、下手に手を出すと命に関わる奴等が多い事(笑)
現代版の佐助→幸村の呼び方で迷ってます。
伊達組の前でならともかく、クラスメイトの前で「旦那」呼びはしないよなと。
真田君・幸村君とまではよそよそしくしたくないし、
同い年だから呼び捨てにしたらいいと思ったら佐助が頑として拒否するし。
高校時代の友達の呼び名で「ゆきちゃん」にしたら幸村が怒るし。
(友人はゆきひこ君だったが、三年間ゆきちゃんで通されてたぞ……)

妥協案で唯一残ったのが「幸さん」なんですが。
高校生らしくはないかもしれない……ゆきって呼んでくれたら一番楽なんだが。
(ゆき呼びは政宗しかしないんだそうです。このばかっプルめ……)


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