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こうしんりれき
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悪い夢だ。
そうとでも思わなければ、目の前の光景はとても信じられなかった。累々と転がる蒼い羽織の骸、折れた刀。地面に広がる染みと、吐き気のするような風。
自分が息抜きついでに、陣を離れたのは半刻程度だ。無論、敵が近付く様子もなかったし————こんな、短時間で全滅に近い状態にされるなど。

「う」

かすかな声を耳が拾った。あわてて視界をめぐらせた先、倒れた人影————
「成実!」
駆け寄って抱き起こすと、血まみれの顔面が見えた。袖で顔をぬぐって頬を叩くと、まぶたがふるりと震える。
「どうした、なにがあった?」
答えようとしたのだろうが、口からは言葉ではなく血があふれた。ずたずたに裂かれた鎧と羽織、手の側には真二つに折れた槍。
誰にやられたと声をひそめて聞けば、ゆるゆるとかぶりを振って。
「逃げろ……梵」
かすれかすれの声に、息が詰まった。
「成実」
「俺と……小十郎が止める……から。他の連中も」
まだ動けるやつがいるはずだ。起き上がろうとした体は、がくりと崩れた。
「無茶だ、足が折れてるぞ」
「……いや、まだ」
時間ぐらいは稼ぐ。血混じりの言葉を吐き捨てて、逃げろ、とくり返す。
「奥州まで退いて……たてなおせ。もう、ここは無理だ」
「いや」
「言うこと聞け!」
初めて聞く激しい叱責。動きの止まったオレを見、土色の顔は笑った。


realize落書き。拍手の正月ネタにするにはあんまりだった(;・∀・)
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