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こうしんりれき
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そのような困った顔をして、どうした。
かけられた声に、ふと顔をあげた。しゃがみこんでじっとこちらを見ている、優しい瞳。
「殿ぉ!」
「……なんだその驚き方は。ああ、平伏もせんでいい」
咎められて、下げかけた頭は止めざるを得なかった。
「私の事を御存知なのですか」
「喜多が誉めておった」
物おじをせず、はっきり物を言うと。それは誉めてるというのかなと思ったが、聞き返すことが出来るわけもなく。
「ここに、何の御用でございましょうか」
梵天丸様も時宗丸様もおられませぬよ、もちろん、小十郎様も。
「だろうな。さきほど裏庭から、大声が聞こえておった」
また稽古で手酷くやられたのだろう。言葉とは裏腹に、御顔は笑み崩れたままだ。

「さて。少しばかりつきあってくれるか」

見れば、殿の手にはふたつの茶椀があった。そのようなことをせずとも、と焦れば、また笑われる。
「茶室で、気難しい顔を見ながらたてても旨くならぬでな」
まあもともと、才能がないのかもしれんが。ぼそりとつぶやく御顔に恐縮しながら、それを受け取る。
「……梵天は、どうだ」
私より、喜多様や片倉様のほうに聞けばよろしかろうに。ちょっと頭をよぎった考えは、顔に出ていたらしい。
「あの姉弟は……」
そこで一旦言葉をきって。まあ似たもの姉弟よの、とぼそぼそ聞こえた。
「殿?」
「儂が聞きたいのは、伊達の跡取りの話ではなく、我が息子の話なんだが」
「まあ」
でも————なんとなく合点がいった。あのおふたかたは、悪いことをそのままお伝えすることはないだろう。
「私なら、喋るとおっしゃいますか」
「はっきり物を言うのだろう?」
喜多は『まるでそこらの童のように叱りつける』と言っておったが。特別な扱いなぞ、せずともよいのだ。
「殿」
一口、茶をすすりこんで。まるで溜息のような声音が、ゆったりと響く。

「……儂は、梵天に伊達を継がせる」
————————————

今日買ったコミックスに触発されて突然書いた輝宗パパ。物にならなかった…
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